―この一年の記憶―
[特別の年の始まりを告げる鐘の音が聞こえるまでの一年の間、
当然の話だけれど、少女らはそれぞれが共に、
されど別の形に成長していった。
この一年の間、幾度シルクの木登りを私は見守ったのだったか。
誕生日に渡した木の実で作って貰ったジャムと>>43
その他の日に食べたジャム、どれも違った味であり、
忘れえぬ味で、一人で昇り降りするのではなく、
木の下で待つ私に飛び込んでくるのを、
変わらず受け止められることが私は嬉しいと思った。
学び舎の畑での光景。
それを見る機会はあと何回、あるのだろうか。
この一年で幾度と思ったそんなことは、
今日もまだ変わらず思っているが、
今分かるのは、その機会はもう、とても少ない―或いはないかもしれない―ということだ。
ジャムのための食物とは別に、染色のための植物を尋ねられて教えることも幾度かあったけれど、>>174
内緒のそれの完成については、私は知ることがあるだろうか。]
(210) 2016/10/10(Mon) 13時半頃