―駐車場―
[昂った感情の業火>>194もようやく炎と呼べる程度には収まった頃、男はワゴン車の扉を開けると運転席を作動させた。
ドア側に回転し、下降しながら前方へとせり出してくる運転席へと、車いすから移乗する。
車いすを折り畳み、再び運転席を元へ戻す。
折り畳まれた車いすは、後方のシートへ。
そして扉を閉じて発進の体勢をとるに至るまで、かかった時間はおそよ2分程度。
片手ハンドルで脇にあるアクセルレバーを作動させると、ようやく車は動き出した]
さて、帰りがてらに見回りでもしていきましょうか。
[男のワゴン車は通常で8人乗り。
障害者であることを差し引いても大きめな車体は、万が一の際に生徒達を移送できるようとの男の考えが込められている。
男の通勤用のためペダルを使用しない特殊な操作ではあるものの、車のキーさえ手に入れれば、仮に他の者が運転する場合であってもおおよその操作は察することができる作り、ではあるだろう。
安全運転を心掛けながら、男は学園を後にする]
(209) 2011/11/27(Sun) 22時半頃