[ することなんて特にないし。 ましてや貸せる金も、貸す気持ちも起らない己だから。 避けるように 紀陸 類 から一歩、離れた。 パートナーが金を貸したのを見て、しかめっ面をしたくらいだ。 ( 生憎、 森 里佳は お金なんて怖くて貸せない質で ) ああ でも。 離れた向こうにいる 彼のパートナーには。 お久しぶりです。と。 心の中でひっそり、挨拶をしておく。 いつかの夕暮れとはほど遠い空の下で、 いつかのものより、ずっとおどおどしてそうな瞳を見つめた。 ]
(207) 2016/06/07(Tue) 23時半頃