が、がああ、あぁぁぁっ!!
[ノストが何かを言っている様だが、それを聞き入れる余裕は、無い>>166。
脚のバネを使い、大地を蹴ろうとし、眼前の吸血鬼に目掛け、駆け寄ろうとした。
『“これ”を避けてみな』
そんな声が聞こえた気がする。
いや、それだけじゃない、不死者の王がすぐ側に居たと思えば、腹部に衝撃が爆ぜた。]
が、……はっ。
[あまりに強い衝撃で、息の仕方を忘れた。
膝が崩れ、体幹が大地に引き寄せられながら、眼前に居る王者に平伏した。
頭を地面に擦り付け、だらし無く唾液を漏らしながら、遠くなる意識を無理矢理引っ張り起こす。
消え入りそうな声で、紡げているか分からないのだが。]
――……しい、…………たい。
[発する声は、狗の鳴き声では非ず。それでも、繰り返し同じ言葉を紡ぎ返す。]
力が、…欲しい。強く、なりたい。
(207) 2015/07/31(Fri) 14時半頃