[少し会わないうちにすっかり変わり果てた妹の姿。
「妹さんと全然似てないわね」
そう近所の人に言われて育ってきたはずが、
「そ、そっくりになったわね〜」
と少し引き気味で言われるほどに、妹は一つの生命体として進化したのだ。
いや、霊長類としての退化なのかもしれないが。
その体躯の良さに思わず同じ血が流れているのだと実感してしまった。
遺伝子の不思議さは侮れない。
両親の代わりに守らないといけないと思っていた妹がいまやテレビの向こう側で世界と戦っているのだ。いまやぬいぐるみではなく、サンドバッグを欲するようになっている。
兄としては、妹の強くたくましく育ってくれた姿に嬉しい気持ちもないこともない。
が、ジョーに対しては申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
二人が納得した上での別れならば己が何か言うことはあるまい。
そう思ってはいるけれど、男にとってジョーは、友人であり、縁はなくなってしまったけれども未だ家族のように思っていた。]
(205) 2013/12/05(Thu) 01時半頃