[覚えていない>>185と言われたって、何もおかしくはありません。
モンドさんの言う通り、最後に会ったのはあたしがモンドさんの腰くらいか、もう少し下くらい。
それに、大人よりずっと子供のほうが、姿かたちが変わってしまうものです。
ただ、あたしはそれでも覚えていました。
まだ父も母もいた頃のこと。見慣れない人は、あたしたち兄妹の噂の的でした。と言っても、人数だけはやたらといましたから、みんながみんな遊んでもらったわけではありません。
けれど、そう、やれ高く抱き上げてもらったとか、駆け足で勝ったとか。……いえ、今となっては加減してもらったのだろうと想像もつきますが。
何かにつけ彼の話をしたことを思い出せば――きっと、例えば、あこがれ、なんて言葉が当てはまるのかもしれない人でした。]
ブレアは、ひとつ上の姉ですね。
ええ、はい、パティ……パトリシアです。
お分かりにならないのも、無理はありません。
小さかった、ですから。
でも、あなたのことは覚えていました。
……お客様は珍しいですから。
[嘘ではないですが、本音を告げずに話をまとめて、あたしはカップの紅茶をひとくち飲みました。]
(204) 2018/07/24(Tue) 00時半頃