[火災で焼け落ちた孤児院。
「因子持ちの子供狩り」だ。
実際、院の中に因子持ちなど、何人居た事か。
生き残りは捕えられた。シスター達は、子供たちを逃す事に必至だった。
大きな孤児院だったから、子供達の名前なんて覚えてはいない。
けれど、活発で陽気な藍色の髪の、年下の男の子――
いや、あの子はもっと可愛らしかった気も、したが。
叱られて立たされているその子を逃がし
代わりに立って替え玉がバレてシスターに怒られたのは、大体自分だった。
ポケットから、古ぼけた銅製の懐中時計をラルフへ投げた。
シャラリと鎖が跳ね、彼の手錠へ絡んだか。
蓋を開くと内側に、『創立10周年記念 ヘレネス孤児院』と刻印されていた。
院の子供たちは当時、出資者から同じ物を贈られていた。
彼が検め終えれば、静かに受け取り]
走って、走って逃げて…
3つ隣の町の孤児院へ辿り着いた子供も、居たよ
(202) 2014/02/03(Mon) 03時頃