[>>192名前を呼ばれ、顔を上げると、神楽の姿が見えて、少しだけ混乱が落ち着いた。頭の中で神楽を仮初の兄として見ていることには気づいていたけれど、それでも、不安定な…にとって、兄の替わりがいることはとても大きいことだったのだ。
神楽に申し訳ないと、神楽は神楽なのだと、罪悪感とともに心の中で思っていても、…にとって神楽は兄でなければ、ならなかった。]
[兄とはちがって丁寧に優しく抱き寄せられて、兄と違うかおりに包まれて、それでも、…は目に見えて安心したように息をはいた。
しかし、続いた言葉に、身体が凍りつく。>>193]
っ、かぐらくん、やめて……!
[それ以上、聞きたくない。もうこれ以上、…の世界を壊さないでほしい。
だって、何をしたって兄の”替わり”はいないって、自分が一番、わかっているじゃない。]
でも、そのみんなだって、一人づつ消えていってる……。
[そう言って、心地よい、神楽の腕を、振り払った。]
(201) 2015/06/25(Thu) 11時頃