唐揚げ弁当ふたつと、あとデラッ……あ、いや、海苔弁ひとつ!
[後ろから投げられる言葉はきちんと聞こえていたのでその通りに注文した。
視界の端に購買部で売られている「デラックス弁当」ーーデラックス定食の弁当版が売られていて、一瞬揺らいだがすぐに我に帰った。
……黍炉くんがマーちゃんに怒られていないかちょっと心配だ。
黍炉くんは見た目は怖いけど、中身はすごく優しい。
自分の意見をしっかりもっていて、ぶれない。
機械化生として同じ時間を過ごすうちに分かったことだ。
……まあ、たまにちょっとご飯とられたりするけど……でもそれだって私が一言、一緒に食べようと言えば黍炉くんは断らないだろう。
私にちょっと勇気がないだけなのだ。
黍炉くんはかっこいい。人として。
だからきっとマーちゃんとも仲良くなれるはずだ!
悲しいかなここに来るまで友達というものに触れてこなかったせいで、「自分に優しい人はいい人=皆に優しい=皆仲良くなれる!」という考え方になっているキャサリンだった。]
(198) 2016/05/10(Tue) 20時半頃