[ひなこと手を繋いで、半歩分だけ先を進んで先導するように廊下へ踏み出した。ちかちか瞬く装飾の光とか、色とりどりの折り紙の輪とか。そんなたくさんの非日常を、受け止めようと真っ直ぐ見据える。その時だった。ぎゅっと、重ねた手に力がこもる感覚>>169]――っ。わ、私、知ってる。見てきた、から。[怖がらせてしまうかもしれない。混乱させてしまうかもしれない。そう思ったら、泣いていたしずくの様子が脳裏を過り、胸の奥がぎゅっと苦しくなる。教室に戻ろうとしていた足が、力を失ってその場に縫い付けられた]
(197) 2015/06/23(Tue) 01時半頃