―待ち合わせ―
ん、いつも以上に気合もいれたからな。
浴衣はヒナのリクエストだったし?
期待には、応えないと。
[格好いいだけじゃなく大人っぽいなんて、最高の褒め言葉だ。そわそわしてしまう気持ちを抑えて何でもない様子を装うと、そう返した。浴衣の出所を聴くと、なるほどと納得して、頬紅だけではない赤味をみつめ、口元を綻ばせる。
イトといいヒナといい、女子の赤面は本当にいいものだ]
まさか! 着物もメイクも、似合ってるよ。凄く。
[似合わないか、問いには少し大げさなくらいに首を振った。折角のセットが乱れたが、そんなことは大した問題ではない。女子を不安にさせるなんて、男として格好悪いじゃないか]
ほんの少し色足しただけなのに、凄く可愛い。
艶っぽいっていうか、なんか俺ドキドキしてる。
[素直に言葉を吐き出して、それからしまったと一瞬口を押えた。最後の一言は余計だったんじゃないか。周囲にクラスメイトもいるっていうのに。視界の隅にちらちら、揺れる白い花。平静を装っていた圭一の目も不自然に泳いでしまった**]
(197) Ayame 2016/08/25(Thu) 02時頃