―井戸―[甘い匂いをプンプンさせた巨人を見つけた子がいたなら、仕方がない、快くその果実を譲ってやったろう。>>159決して独り占めしようとせず、人にも与え、喜びを分かち合うことを知っているマリオ。その優しさに触れる度、俺は春風を思い出す。その顔が綻ぶ度、鮮やかな桃色の花が脳裏に浮かぶ。桃の木の精霊とは、きっとこんな子のことを言うのだろう。] 桃の皮むきってのは、こうするもんさ![井戸で冷たい水を汲み、力を使ってそれを瞬時に沸騰させる。桶に満ちている熱湯へ果実を豪快に潜らせれば、――ほら。一瞬で、つるりとした実が姿を現す。]
(196) 2016/10/07(Fri) 23時半頃