─ 回想:共用スペースで管理人と ─
そうです、ぎゅっと胸が苦しくなるんです。
[少し周囲から浮いている自分。その特異な見た目に惹かれてか、告白してくる女の子はちらほらいた。
その度に少しばかり浮かれながら、僕でよければ、と頷いて。そしてしばらくしてから、付き合ってみたら期待はずれだった、みたいな顔で、「別れよう」って言われるのだ。
彼女達にも、──そして、自分にも。
そこに恋はあれど、愛はなかった。
彼女達は、非日常を、刺激を期待していたのだろう。僕は、家族のように受け入れてくれることを、安寧を期待していたのだろう。
相手を求める心は、どこにもなかった。
そんな自分を思い返しては、『終着点の向こう側』の主人公の、青臭いまでの直情に涙が溢れそうになるのだ。
ああ。こんな心を抱けたなら。
僕も、僕らも、何か違っただろうか。──なんて。
管理人さんがそんな主人公とは真逆みたいな想像をしているとは知らず、しみじみと頷いた]
実に、良い本ですよ。途中でいたたまれなくなっても、ちゃんと見届けてください。
(195) 2018/12/17(Mon) 23時半頃