のう…お主が、死んだ時のことじゃがの。
わらわは、お主が間違っている、とは思わなんだが。
正しいとも、思えぬのじゃ。
その、100人の部下が死ぬところを、
お主は、しかと見たのか?
[星が瞬く天井を見上げて、夢心地になりながら口にするのは子守唄でなく、昼間話せなかった想いのひとつ。
静かな夜。あやすように背中を撫でる掌に勇気を貰った今なら、言える気がした。>>184]
――…わらわは、こう、思うたよ。
お主が真っ先に砲弾に撃たれたことで、他の皆は
危機を察して、逃げおおせたかもしれぬではないかと。
きっと間に合ったから、ここに他の者がおらぬのではと。
お主は――大事な者たちを、護ったのじゃ。
[薄らと、閉じかけた赤い瞳の先に見えるのはもじゃもじゃの髭先で、聞いているのか、もう寝てしまったかもわからないが構わずに。>>191]
(194) 2015/12/16(Wed) 00時頃