[Chat Noir────音大在学中に初めてピッパが書いた、ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲。
通常の構成とは違い、ゆったりと流れるヴァイオリンの旋律の下、細かく刻むチェロが導入部を引っ張る。
技巧を凝らしたチェロの旋律を追い掛け、次第にヴァイオリンも早く、高く、激しくなって行き、疾走する二匹の猫のように跳ね回る超絶技巧のクライマックスへと続く。
この曲を書いた時、ピッパの頭には自分とセシルの関係がイメージとしてあった。
ピッパは、ずっとセシルの音を追い掛けて、自分を高めて来た。ヴァイオリンを諦めチェロに転向したセシルへと、『あなたは私の目標だった。私はあなたを追い求める。いつまでも、共に高みへと──。』そう伝えたくて──。
結局、想いは伝わらず、セシルは消えてしまったけれど。今また、二人で弾ける歓びに、ピッパもゆるりと弓を構え、弦を震わせた。
処女作故に、技巧を詰め込みすぎた感のあるChat Noirは、ずっとチェロに触れていなければ弾きこなすのは難しい難易度になってしまっている。
セシルはどのように弾きこなすのだろうか?]
(192) 2012/12/08(Sat) 00時半頃