―4階―
万里…!!
[4階に駆け上がって、見つけた。座り込む万里と、その傍に居る織部の姿。急いで駆け寄り、織部が身を引く前に居た位置、万里の正面へと膝を着く。
縮こまって耳を塞ぐ万里の背中に腕を回して、壊れものを扱うかのようにそっと優しく抱きしめた。宥めるみたいに、背中をぽんぽんと優しく叩く。
そうしなきゃ、そうやって包み込んでやらなきゃ、こいつが壊れてしまうような気がした。]
あー…あの、さ、
[でも、これだけじゃだめだ。何か、言ってやらないと。
第一、どうして万里がこんな状態になっているのか分からない。それもあって、なかなか言葉が出てこなかった。
最初に浮かんだのは、「おにいちゃんはここに居る」とか、そんな、万理の兄に成り代わるような言葉。きっと、万里は、兄さえいれば安心するだろうから。
だが、本当にそれでいいのだろうか。それで本当に、万里のためになるのだろうか?]
(192) 2015/06/25(Thu) 01時半頃