[身体能力に秀でている訳でもないし、勉学だって、平均点以下を取った事はない程度だ。
芸術的なセンスにも恵まれなかったし、特別に人望が有るわけでもない。
身の程を弁えない高望みなんて、するべきじゃあない。
平凡な道を歩んで行けば、困る事はない。常識的に考えれば、それがきっと安泰だろう。
けれど、本当にそれでいいのだろうか?
割り切らないと。そう思いはするものの、子供の頃からの夢が諦められないのも、また事実なのだ。
憂鬱な気持ちを吐き出すように、ため息をひとつ。
思い出したついでに、新発売とは言えなくなってしまったチョコレートでも買おうか。頭の中の買い物リストを更新しつつ、目的地へと向かう。
鞄の中、取り寄せた願書―北の大地のとある大学の名前と、“動物看護学部”と記された書類の出願期限までは、後少し。*]
(192) 2015/06/18(Thu) 18時半頃