わたし、……そうね。 行きたいところがたくさんあるの。したいこともたくさん。…たくさん。 聞きたいことも、言いたいこともたくさんあるわ。 せんせいの背に乗せて。 おいしいものを見つけたらあなたのこれまで生きてきたおはなしを聞きたい。 わたしのこころの中であなたの存在を生かしたいから。[叶えてくれる?首を傾げながらわたしはあなたの背に身を埋めましょうか。抜け落ちたつばさの隙間に潜り込んでしまうの。中庭を見て、物見小屋を見て、いつかいたずらを仕掛けたお部屋を見て、アトリエを見て、厨房を見て、屋根を見て。ここにある景色を、すぅっと、息を吸ってわたしの中に取り込むの。忘れないように。忘れないように。“さいご”の時まで]
(191) 2016/10/16(Sun) 23時頃