―屋根―
[ いい加減ここへと登るのにも慣れた。
ここへ来たのは、少し一人で空でもみようかと考えたからであるが、本日も…悪い霧模様。
晴れていれば、シラノよろしく空に詩でも朗じてみるのもいいだろうけれど、この重苦しい霧に愛を囁くのはゴメンだ。
寝転がったなら、煙草を取り出して煙の輪など作って遊ぶ。]
……平和だなあ。
[ 呟いて大きくあくびでもしていたなら、――何処かから爆発音のようなものが聞こえた。
誰かが電子レンジに生卵でも入れたのかなァ。
……とまではさすがに思わない。
立ち上がって様子を見れば、館の裏口近辺に何やら人影のようなものが見える。
なんだなんだと野次馬根性を発揮して高みの見物をすることにした。屋根だけに。
ずりずりと這って軒先から見下ろしたなら、気付かれただろうか。気付かれなければこれ幸いと様子を窺う事にする。]
(189) 2014/11/14(Fri) 00時頃