[扉を開いた際真っ先に耳に届いた声>>186は、影流のもの。ではなかった
聞き間違えようもない。師の声だ]
え、ぁ。あ……し、しょう?
[何で。どうして。怪我をしていたのではないのだろうか
言葉が単語として結びつかず、ほろほろと零れ落ちてゆく
知性のある魔の甘言に騙され、気づいた時には手遅れになっていた。其れを襲うと、呼ばないのであればどう表現すればよいのだろう
ずんずんと、此方に向かう姿が酷く――恐ろしい
きっと顔を合わせても何も言えず、唯要領の得ない様な声しか出せない
師が”きもちいいこと”に対して話題に出す事すら嫌悪感すら抱いているように己には見えていた
興味もなかったし、そう言った話題を会話で出した事もない
だからこそ、今の己は師の一番嫌いな物になってないかと
浅ましく、魔の腕の中で乱れ善がり。その熱を自ら求め
――最後にははしたなく哀願した存在に、なった
軽蔑の目が。失望の色が浮かべられるかもしれない
それが、怖かった]
(188) 2016/06/12(Sun) 13時半頃