[その話には帰着点も何も無い。とめどなく感情をぶつけるだけの行為だからだ。舌足らずの口調で後輩に話しかけるその目は据わっている]
だいたいなあ!?…ぐす、シチューによォ、飯を盛るんじゃねーよ!!ってんだァ…何?ちげーよあいつ、飯の上にシチューじゃねえ、シチューの上に飯かけてるくせによ、俺が胡椒かけたら、怒るんだぜ、なあ。
[蒸留酒が無くなっていることも忘れて、空のグラスを呷っては舌打ちを一つ。適当にテーブルにあった、誰のとも分からないビールジョッキを手に取り一気に飲み干す。視界が回って、そこら辺の店員も、キルロイも、ベネットも、この飲みに付き合ってくれている奴も、全員妻佳織の顔に転じていく。
……ああ、また怒ってる。こんな酒場でくだまいて、おれが悪口いってるから。おれがはやくかえらないから。おれがそばにいてやらないから。ふたりのじかんがないから。こどもがほしいのにおれはかえるとすぐねちまうから。なにをいってもすまんっていえばゆるされるとおもってるから]
(188) 2016/06/05(Sun) 00時半頃