[声をかけた彼>>176と小柄な彼女>>178、どちらも見覚えがあるようでないような、2年も前のことだから、記憶に靄がかかったようにはっきり思い出せない。
けれど懐かしさを噛みしめながら、二人へ静かに微笑み返した。]
あら、そう?
それならお言葉に甘えて。
[少し離れた場所に座ろうとしていた身体を反転させて、男の隣へ腰かける。
ヒールを履けば170はあるだろう姿も、椅子に座ってしまえばそう目立たなくなった。]
ん、おいし。
[タバサから受け取ったお酒を回しながら、ふたりの話を聞くともなくぼんやりとしている。
元々口数は多い方ではないし、話を聞いているだけでも楽しかった。
次第にアルコールへ浸って行けば、意識が揺蕩う波のように揺らぐ。]
……あら、彼女は?
[気づけば、名前も知らぬ小柄な彼女の姿が見えなくなっていて、最初よりも蕩けた瞳が瞬いた。
鼻をくすぐるのは懐かしい煙草の香り。
酒も煙草も嗜まない彼に合わせてやめてしまった、2年前のことをふと思い出した。]
(188) 2014/02/16(Sun) 20時半頃