[ なまえ。 わたしをつくるもの。 おかあさまがくれたもの。
先生の声が、流されそうなわたしの思考を掬い上げて
重ねられた大きな手に>>172顔を上げる。
なんだか、泣きそうだ。]
あ……う…………。 はい。
サイラスには、いつも頼ってばかりですけれど
きっとそういう事じゃあ、ないのでしょうね。
[あたたかな先生の手も、どこか強張っていて>>170
たくさんの人と獣の命を救い、たくさんの死を見てきたのだろう。
そんな人ならわたしの見た「死」も、共に見てくれるのだろうか。
震えの落ち着いたもうひとつの手を、せんせいの手に重ねて]
先生はわたしより ずっとずっとお強いでしょうけれど
おんなしですよ。 …頼ってください。
[何を突然、と思われるかもしれないけれど出てしまった言葉と共に、なきそうな顔のまま彼の手を包んだ。]
(187) 2015/05/10(Sun) 02時頃