[そうしてくるり、向きを変えて触角のお兄さんに歩み寄る。
ねえねえって、彼に向かって手招いた。
わたしの意図は通じるかしら?
低い位置にあるわたしの頭。そちらに顔を寄せてくれたなら、耳を貸してって内緒の声で。]
ねえ、お兄さん。
お兄さんもくらげさん、怖い…よ、ね?
あのね、甘いのとっても美味しかったから。
だからわたしは、今夜お兄さんを守ってあげるわ。
お兄さんは くらげさんには襲われない。
わたしだって、頑張れるんだから。
だからね───、はい!
[内緒話の終わりに声を元に戻して、笑顔でころころと彼の掌の上にキャンディを転がした。幾つもの宝石のような色とりどりの砂糖菓子。
しーって内緒、って彼に笑いかけたけど。
多めに渡しちゃったシュガーキャンディ、みんなの前だしバレバレよね。*]
(187) 2020/08/29(Sat) 17時頃