―数年前の対処―
どうしよっかにゃーんにゃん。
[風間小太郎から齎された情報をどう生かすか。
一日考えた結果、沙魅助は筆を手に取った。]
『拝啓 初夏の候、××様におかれましてはますますご活躍をされているとお噂がこちらまで耳に入って参ります。お初にご挨拶致します、この度黒根家の当主を引き継ぎいたしました、黒根沙魅助と申します…… ……』
[黒根を狙っていた大名、それぞれに宛てた手紙。
その内容は、黒根家先代当主が倒れたことを敢えて知らせるというもの。へりくだった内容ではあったが、「お前達が攻め入ろうとしているのは知っている」「こちらは新当主となり、迎え撃つ準備もある」「黒根を狙えば、黒根と領地の近い山芭家や土下家も黙ってはいないだろう」と遠回しに伝える文であった。
なお、そうは書いていたが、山芭や土下に助力は頼んでいなかった。山芭や土下の領域に『黒根を狙う大名たちが、城を落とした後、山芭や土下も狙う気だ』という噂を、部下を使って流させただけである。
つまりは半分くらいハッタリであったが、計画が筒抜けだと怖気づいた一大名が黒根攻めを中止することを提案し、争いは避けられたのであった。*]
(187) 2015/05/17(Sun) 22時半頃