……果たして本当に間違いはないかねえ?
[指先へと視線を向ける青年>>160は手妻のタネに留まらず、こちらの手中も見破ろうとしているようにも見えて。本当ならば身を引く所なのだが今日は不思議と目の前の青年を遊んでみてもいいだろう、と思えた。それがどうしてなのかは明確に分からないけれど、恐らく一介の芸人として又は手妻師として彼を驚かせたいと思ってしまったのだろう。]
へえ、……なかなか物珍しい趣味だこと、
ただ、私もプロだからねえ……見破られたまま、というのは気に染まないな、
[出来ることならば――珍しい趣味を持っている青年に簡単には見破れないようなトリックを。それを目前に苦悩し悔しがる姿を見るのは、きっと笑いを堪えるのも難しいくらいに楽しいに違いない。]
今度は見破られないような芸を――……って、
なんだ……君、学生さんだったんだ?
[「なんだか落ち着いているから社会人だと思ってたよ、」なんて掌をひらひらと振りながら軽口を。然りげ無く青年の名前を脳裏に焼き付けつつ、縦にうんうんと頷く。]
(どうやら警察関係者の線は薄そうだけれど――、警戒を完全に解くにはまだ早いか。)
(185) 2014/12/05(Fri) 19時半頃