>>183
[呼びかけられて静かに顔を向ける。
短い髪に強い眼差しの女、知った顔かと頭を巡らせるが、どうにも出てこない。]
おう……なんだ、お嬢ちゃん。
久しぶりってこたぁ、会ったことがあるか?
[無遠慮な目と不愛想な顔で言葉を返す。
それは昔と変わらないが、かつてより皺と髭は増えて厳めしさは上がってしまっただろうか。]
悪いな、思い出せん。
なにせ俺がここにいたのは随分と昔……お嬢ちゃんが俺の腰くらいの背丈の頃だろうからよ。
[申し訳なさそうな顔は一瞬だけ、それも慣れていることだ。
別れ、出会い、別れ、それを繰り返してきた人生。
人との縁は再度繋がれば儲けもの。そうでなくて当然と思っている。]
思い出せねえっていうか、分からねえ。
あの頃の子どもは誰がいたっけな……ケイティ? ブレア? それとも、パティか?
むしろ、よく俺をおぼえてるもんだ
(185) 2018/07/24(Tue) 00時頃