[――――、
最期に何か音にならぬ声で一言囁いて、頬を包んだその両腕で己をぎゅっと最後に強く抱き締めたドールから、力が抜けて崩れ落ちる。]
……――っふ、クックっ、ははっ
そうか、やけに簡単にドールが従ったと思ったら、
……ふふっ、そうか先生、…キミの仕業だったか。
[一頻り、呆然とした後に、
肩を震わせ笑い出した己は、傍目に、とうとう壊れたとでも思われそうだったけれど、構わず笑う、零れる涙もそのままに、心から、声を上げて笑った。彼女へと、自分は今も幸せだと伝える為に。
『ほら、笑って?愛しい人』
何度も何度も聞かせてくれたその言葉、あの頃の自分は上手く笑い返す事も出来なかった。
最期の一言は、これで正解かい?心の内で彼女に問いかける。
答えは無い。けれど、記憶の中の彼女が、幸せそうに、嬉しそうに、微笑み返してくれた気がした。*]
(184) yahiro 2014/02/10(Mon) 05時頃