[長生きしなければならない理由が出来た。
今まで以上に健康に気を遣い、防犯意識は高めるけれど、そんな微々たるものではなく、もっと時間が必要だ。
師匠が入院していた病院の医者は吸血鬼で、肉体年齢が老いないままもう長く時を生きているという。
男は今更吸血鬼にはなれないが、吸血鬼に吸血されることにより「眷属」となればより長くを生きられるだろうという「答え」はすぐに算出できた。
手っ取り早くその医者に頼まなかったのは、単純に。
『どうせ長く生かして貰うなら、その間ずっと血を捧げるなら、好みの顔がいい』
そんな我儘極まりない理由からだった。
医者にも好みはあるだろうし、その場合多分男のように30過ぎた元々健康で筋肉質の髭面はきっと範疇外だろうが、打診する前に思っていたことなど、話さなければ相手に伝わることもないのだから良いのだ。]
(184) 2019/10/06(Sun) 01時半頃