[魔性となった、もう師ではない男を映す青緑の瞳の持ち主は、弟子というには甘すぎる表情をする。
副隊長として、自分の教えを頑なに護ろうとした翠の瞳も、jadeの宝石が持つ「癒し」の効果そのままにJの心を支えてくれていたけれど、「同じもの」となった魔性の瞳もJを捉えて離さない。
首を伝う唾液を舌で掬い取れば蜜の味。
くちづけを交わし過ぎて、本当にどこかが解けてブドウ糖に分解されているのではないかと思うほど。]
……コラ。
恥ずかしいから、そういう事をあまり言うんじゃない。
[自分はベネットを恥ずかしがらせるのが好きな癖に棚上げをして。
色づく耳をぺろりと舐める。
彼がまだ「Jさま」と呼ぶのは、訓練室で「J」と呼んだ際にJが彼を「ウィリアム」と呼んだからだろうか。
敬称は少しだけ心の距離が遠く感じるものだけれど、聞き慣れた彼の声色が紡ぐ「Jさま」という響きが落ち着くから、無理に呼び捨てを乞わなくとも良いだろう。]
(183) Ellie 2016/06/20(Mon) 22時半頃