[事態を飲み込めないまま、奇怪な行動に出たティモシーの背中に視線が奪われた。
なぜか、誰もいない方向をしきりに手で探っているその背もまた、彼の服越しに肉を抉られている。
目の前のザックほどではないが、決して浅い傷ではない]
いえ。今はそれ以上に……。
ザックさん! ザックさん、しっかりしてくださいっ!
[車いすの上からでは碌なことはできないと知りつつも、体を伸ばし、少年の容態を探ろうとする。
発した声に反応したのか、老いた教師が振りかえる。
狂気も宿らぬ両の瞳で、男の方角へと突き進む。
求めているものは、もう分かる。恐らく、ザックを貪ったのと同様、男の血肉か]
く……っ!!
[襲いかかるティモシーの首を、下から両腕で突き上げた。
まるで下から首を絞めるような状態で。しきりに虚空に噛みつくティモシーの口内から、溜まっていた血液が噴き出され、男の体に降りかかる。
ただ、闇雲に前に出ようと、闇雲に噛みつこうとする姿を見て、男はぽつりと呟いた]
(183) 2011/12/02(Fri) 02時半頃