[……だから、その明らかさまな間にも。>>174何ぞ疚しい事を思っているなどとは気も付かず。良い、と云う返事を聞くより先に動き始めていた事はそっちのけで、道を踏む足は少し速い。それでも、その質問には厭に長い間を空けた上に、妙に歯切れの悪いのが、問いを重ねさせた訳かもしれない。 (先生の、逡巡めいた矛盾や、 その暗澹も、手伝っていたかもしれない。)又も詰まるものの、それは答えがなかったから。即ち ─── 『……如何かな、分からない。』実にその通りとは云え、卑怯な答えであるとは己でも思うのだ。だが、それ以外に正しい答えも又、見当たらなかったのだ。]
(182) 2017/06/20(Tue) 18時頃