[さて、食事を終えればやることがなくなってしまう。
庭いじりでもしていようか、とも考えたけれど、既に部外者である自分が勝手に弄っていいものかもわからない。
許可を貰うならドロシーかメアリーかハワードか。
オーレリアとのお茶の約束も…と思いついたけれど、この広い古城の中、探し出すのは一苦労だろうな、と戸惑う。
自分には、庭いじりか植物の知識しかないから。
沢山の花に埋もれた婦人。
その花々に添えられた言葉や想いは、複雑すぎて。
…わかったところでなんにもならない。
花言葉が分かったからって、そのひとの心までわかるわけじゃない。
寧ろわからなかった方が良かったことだって。
婦人が己の手掛けた「婦人を思い出す」庭を褒めてくれる度、メアリーに向けられたあの冷めた瞳。
黄色いカーネーション。
いっぱい、彼女にはいたずらもされたけど、
じつは友だちになりたかったなんて言ったら、笑われてしまうのかな。]
(182) 2016/07/30(Sat) 19時頃