[幸いにして赤子が泣き出すことはなく、女性はほっと息を吐いてからセイルズの側を向いた。恐らくは叔父より少し年下位の、年配の女性>>0:782。母親の代わりに、孫の届け出をしに来たのだろうか。
女性はまとめられた書類を受け取ると、セイルズを見上げて礼を言う]
いえ、ぶつかったのはこちらですから。
……それと、これの提出先は2階に移りました。
[女性が立ち尽くしていたのは、案内板の前。
その右下には、小文字で部署名を書き連ねた張り紙。
それらをちらりと見遣り、手短に補足すれば、再度感謝が告げられる]
[部署統合に伴い発生した什器処分費、それらを整理したのはつい昨日のことだ。この書類が、祖母による代理手続きなら、窓口変更を知らずとも無理は無いと──二月前に手続きをした母親本人であっても、知らない可能性は十分あるのだと気付かないまま──乳母車を押し始めた女性を見送った]*
(182) 2018/12/01(Sat) 00時半頃