[>>165 いかにもJらしい、己の想定していた通りの答えだ。
しかしやはり、彼は愚かだ。一撃を狙うでなく、彼を掴む手から己を高温で焼けば、それでおしまいの筈なのに、そうしない。
己が既に魔に捕らわれ、救えないと悟って尚。
急所を狙う一撃を、分厚く展開した水の層が防ぐ。
それは元来己が持つ、水による防御の盾の力だ。せいぜいオークの攻撃を数度防ぐのが精一杯だったそれで、Jの一撃を受け止める。それだけでも、己の能力の変容を彼に知らせるには十分だろう。
蹴りを塞いだ水は衝撃に形を変え、そのままJの足を拘束せんと動く。足首にまとわりつき、床から新たに発生する水柱と結びつき、その場へJを縫い止めようとした。
同時に、彼に見せつけていた注射器を掲げていた水は細く練られ、その切っ先をJへと向けた。狙うは、彼が傷を晒す掌。マーカーで抉られた、そこだ。]
(181) 2016/06/12(Sun) 13時頃