俺が、そんなことをさせなければいいだけだ…。
[決めているのは唯一つ、あの子にこれ以上過ちを犯させないこと。
そのためにここに残ることを選んだのだから。]
俺は剣の打ち手。
いずれにしても、今この瞬間でもやれることは……。
[室内に打ち手の設備は整っていなかった。
牢屋にも既に資材はなかったはずだと思考する。
いずれにしてもさらにいい物を作るには、華月斎の名と共に伝わる鎚がいいだろうと。
ホリーか、付き人か、いずれにせよ誰かに一度工房に行き仕事道具を取ってくることを伝える。]
大丈夫、道具を取ってくるだけだ。
ホリーが助けを欲しいという時はいつだって助けに来るさ。
[そう言って城を出る。
今この瞬間、無傷で城を出ることが人々にどう思われるかなどは、今は気が付かぬまま。
凱剣・華月斎と、城内にいた馬を1頭借りて、山奥の工房へと向かった。]
(181) 2012/08/09(Thu) 01時半頃