[求めよさらば与えられんと言う癖に、
飢える者にパンは届かず。パンの隣にはぶどう酒が置かれる。
現実において、神はとても理不尽だ。
自分の問いを反芻し長い睫を下げて思い巡らす少女を、静かな目で見下ろす。
ミルフィ、と呼んでも怒られる事が無くなった今から思えば「虐げた相手からされてムカつくのは、報復?それとも施し?」と聞いたほうが彼女の同意を得るには良かったかも、なんて妙な考えをしたりもするのだが。
生憎、隣人>>167への理解は足りていなかった]
大切な相手には何も考えず手を伸ばせるけれど、
誰に対してもそれが出来ればもっと良い。
アレはだいたいそんな話だよ。
[そんな簡単な事じゃないとでも言うように、逸らされぬ茶色の双眸を受け止めて。感情のままに不満を抱える純真さと、それをぶつけてくる素直さに自然と頬は緩んでいった。
己の話を黙って聞くばかりの人物でない事が、嬉しかったのだ]
サマリア人は、助けずに男が死んでも何も変わらない事を。
男を助ければ、少なくともそのユダヤ人の中では
何かが変わる事を知っていたのかもしれないね。
(180) 2014/12/05(Fri) 17時半頃