[艶やかな黒髪がはらはらと舞う。…嗚呼、やはりその色は美しい、なんて少しばかり見惚れていたが その答えが否定なのだということを知れば、少し悲しげに眉を下げた。
それでも、娘の名を他人の口から聞くというのはなんとも嬉しい気分だ。やはり、彼女は娘の側に置くに相応しいだろう。]
……娘ですよ。今…13歳で、とても愛らしく、可愛い子です。
[聞いてもないことを、喋る。
恐らく声は先程よりさらに柔らかくなったに違いない。…まさかその姿が言葉通り「人形」になっているとは、きっと想像もつかないだろう。
空洞になった片目と、赤にまみれながらもその色を失わない灰色の瞳で彼女を見つめた。
怯えたように体を震わせる姿は、ああ気持ちが悪い。
それから、彼女の瞳か再び伏せられれば 言えないようなことなのか?と少しだけ邪推。まさか"食べた"などとは夢にも思わないのは、きっとこの男が食人の趣味がないからだろう。]
────、……薬に?人の眼球が薬になるのですか?……貴方は何か病気でも?
(179) 2016/02/27(Sat) 18時頃