―パン屋「ガレット・デ・ロワ」―[客の入りなど彼女が気にする事ではないだろうにと、開きかけた口はまた閉じて、無言。音を鳴らして扉を閉めてから、パンを物色する彼女を横目に、自分はレジ前まで移る。]言うな。[何か言われる前に、足を止めた彼女にそう言うも、遅い。2ヶ月前に終わった、大層繁盛した祭りの事を言われ、渋い顔をしながら、少しの間の後返事をした。]……クリスマス用だ。[真顔で告げた言葉は嘘ではないものの、この場にはいささか滑稽でもあった。]
(179) 2014/01/19(Sun) 14時半頃