[小さな子を一人にして暫く経ち、月の高度も変わる。
廊下に迷子の声が響き始めた頃、ぱちんと電灯の明るさが弾けた。>>155 人気のなさに暗闇が加わり、迷宮が夜の顔を見せる。締め切られていないカーテンの裾から、月の光が落ち、迷子の姿を朧げに照らす。
こつ、こつ、と背後から近付く靴音はやがて止まり。座り込んだ細い少年の腕を掴み上げる]
……此処だよ。 お前、こんな所にいたのか。
[そのまま腕を強引に引き上げ、立たせようとする。薄ぼんやり照らし出される主人の顔は、少しも笑っていない]
方向音痴が。
分からないなら、最初から分からないって言えよ。
[食堂を出た後、後を追う小さな足音を知っていた。>>154 それでも振り返るのが億劫で、気付かないフリをしたのに、全て責任転嫁する。
掴んだ細腕に次第に力を籠め、衣服の上から爪を立てる。繋ぎ止めるにしては不必要で強すぎる、悪意を込めて]
(178) 2017/10/08(Sun) 17時頃