― 回想・いつかの訓練場>>143>>144 ―
[対魔忍の話、と言われても、すぐにはピンとこなかった。
ぽつぽつと語られる話には口を挟むことなく頷いて。
頭を下げられたものの、やはり自分が何かためになったような事をした実感はなかった。]
……ふぅん?
よく分かんねぇけど、思い通りにいくような事の方が、世の中少ねぇんじゃねえのかな。
[自分にも思い通りにならなかった事は、幾つもある。]
どうせ思うようにならねぇなら、やりたいようにやるのが一番だろ。
生きてんだから。
[目の前の青年が何を思い悩んでいるのかは分からないが、うん、と頷いた。思いの丈を打ち明けたからか、さっきよりも随分晴れやかな表情をしているようだ。
これぐらいの話、布袋につき合わされる愚痴に比べれば世間話のようなもの。酒もたまには役に立つという事か。
それだけを話し、キルロイは倒れ込んだ二人を引きずって医務室へと連れて行った。]
(177) 2016/06/05(Sun) 00時頃