[リッキィが診察室を後にするとそれを見送った。
ミナカタと二人きりになれば隠すこともなくなる。
先ほどから催促が強くなっていた。
苦手なものが近くに居たこともあるのだろう。
貰った青い包紙に包まれた飴玉をポケットから取り出すと、包装を剥いだ。
現れたのは黒い色をした飴]
先生、なんか凝ってる……。
[鉄の棒でも渡してくれればそれで事足りる気がしていた。
何事も装飾というものは大切なのだろうか。
飴を握ると軽い音を立てて薄い飴の表層に皹が入り、中身が零れ出す。
中から出てきたのはざらざらとした鉄の粉。
それはオスカーの皮膚に触れようとしたところで水あめのように溶け、蔓延るように手のひらに広がると味わうようにじっくりと体内に入り込んでいった。
手のひらの上に残った飴の層を口に含むと甘味が広がり頬がわずかに緩んだ]
(177) 2013/06/22(Sat) 08時半頃