…ひっ…!!
[彼の親指の付け根からあたりからは赤い液体が流れていた。
反対の手には、各々の机に置かれていた、ナイフ。
それは紛れもなく血であった。
驚くほどの出血量ではなかったかもしれない。
しかし、死ぬか殺すか、と説明されたこの状況で、実際に血が出るのを目撃してしまえば、とても冷静ではいられなかった。
ガタン、と机と椅子の間に落ちるように尻餅をつく。同時にナイフが床へと落ちる。
ガタガタと震える手でそれを拾い、3人とは反対側に当たる教室の隅でしゃがみこむ。]
何で…どうしてこんなことに…。
[呼吸が苦しくなる。大きく肩で息をする。
成田の呪いなのか、成田に恨まれているのか、みんな死ぬんだろうか、みんなに…殺されるんだろうか。
怖い。
そんなはずない、そんなはずないと頭を左右に振る。それでも、ナイフを握る右手の力は、意に反して強く、固く。]
(176) 2015/04/03(Fri) 01時頃