[膝に乗せて撫でられる子虎と撫でる彼は、随分と似合いで
その姿を見て、自然と笑みが浮かぶ。
これはこれは、意外なほどに掘り出し物かもしれないと
しかし記憶がないと聞けば、興味をもったように片眉をあげて]
記憶がない?
ふむ......魔術師に記憶を揺り動かしてもらってみたりはしたのか?
記憶がないと言うのは不安があるだろう
[心配しているような、声音。
心底から案じているような、芝居。
芝居のはずなのに、作った声音のはずなのに、何処か心を揺らがせた自分がいる。
それに気づかないように内心で目を背けながら、口を開く]
話をきかせてはくれないか?
[それは芝居だったか、本心だったか。
本人ですらわからないような。
否、知りたいと言う感情だけは確実にあるのだから、本心ではあるのかもしれない。
男は意識的に自らを第三者の目線から見ようとしていて]
(174) 2014/12/26(Fri) 00時頃