[女を感じさせないさっぱりとした池田の対極にいるのは七海だなと、先程春原と話していた姿を思い浮かべてひとりでに思う。
彼女を前にすると、明らかに男どもの顔つきが変わるのだ。
くるんと毛先の巻いたロングの髪の毛に、シャンプーなのか香水なのか柔軟剤なのか甘い香りが漂って、色づいた頬に長い睫毛に…流石に女子は皆同じに見える自分にも、彼女は「可愛い」部類に入るんだと言う事がわかる。
いつか、付き合いたいと思う女子を打ち明け合うというなんともくだらない話で盛り上がった時に、そこに居た男子の8割が七海の名前を挙げた時は「まじかこいつら」と思ったけど。
男に媚びてるなどと謂れの無い陰口を叩かれている事は知らないまま。
時折天地兄弟に向けられる表情の意味も、わからないまま。
女子は大変だな。
そんな呑気な感想を抱いて、先へ行ってしまったであろう曙星の背を探した。*]
(174) 2018/08/24(Fri) 16時頃