―大広間―
[訪れると相変わらずに多い人の影。
どうやら食事は終えたものの留まっている者が多いようだ。つまり午前と大して変わりない光景。あまり喧騒の中にいる気分でもない、要るものだけ手にしてさっさと退去しようか、と足元に寄り添うマリンブルーを見遣って小さく笑う。
ふと視界に映るのは、見覚えのある小さな姿。>>152]
よーぅチビすけ、今日も授業出てんのか?
[背後から頭を掴むかのような勢いでわしゃわしゃと撫でつける。先程“相棒”からも驚かされたことは知る由もないが、当人からすればきっと災難続きであるだろう。
まぁ、知らないけどね。嫌がられるのだっていつもの事。]
[いつも通り、と己に言い聞かせながらの行動は、しかし平常とは様子の異なるような相手を見取って色を変える。]
―おい、どうした?
[いつもより少しだけ堅く、低い声。
軽薄のヴェールの向こう、普段は隠そうとする“俺”を覗かせて。]
(173) 2015/02/03(Tue) 20時頃