ぐ、ぅ――ッ、ハ…ッ、[血圧が下がっているのは自分でも知れた。出血死には至らずとも、巡る酸素が圧倒的に不足している。自然と浅い呼吸を繰り返しながらも、彼の戯れで抉られる肉が神経を掻き乱す。激痛に耐え、右の肘を床にぶつけて、意識を振り絞った。同族の爪を食む姿を、何度も瞳を洗い、視界に納め。輪郭の滲む視界を鼓舞。>>166彼から決して目を離さず、濁った瞳を美しい彼に向けた。血と創に塗れ、地に這う身は、彼の存在により、血の味のする息を吸い込むと、左肩を穿つ爪も勢いづけて引き抜く。途端に血が散るが、標本で居ることに満足できず、貫かれた姿を紅の瞳に晒し続けることを力強く厭った。]
(172) 2014/01/26(Sun) 01時半頃