[サイラスとトレイルは南方の誘いに乗っただろうか。
先ほどチアキに待つといった手前、職員室に押しかけるのはやはり気が引けて行くのはやめておいた。
けれどだからといって一人自室に籠もる気にもなれない。
どこに行こう、と思案して足を向けたのは礼拝堂だった。
ひどい状態の遺体はおそらく、その状況の異常さに誰にかに悼まれることもなくそこに置かれているのだろう。
見るのはやはり辛いけどそれでも、人一人死んでいるのだ。
恐れや怯え、真相を知るという好奇心の元、悲しむことを忘れられているのは哀しい。
礼拝堂の思い扉を押し開けると、誰もいない礼拝堂の中その棺は静かにそこに置かれていた。
近寄るのはやはり怖くて、扉を開け放ったままその側でそれを眺めるしか出来なかったけれど。
すぅ、と息を吸い込む]
Requiem aeternam dona eis, Domine,
et lux perpetua luceat eis……
[最近名前の売れ出した作曲家の作ったレクイエム。死に方がどうあれ、その魂に安息をと祈りを籠めて、歌う]
(171) 2014/06/24(Tue) 11時半頃