[右手首の拘束が痛い。あまりにもきつく、きつく、おそらく此の手は離されることにいだろう。───なら左手は?
きつくはあるが、抜けないことはない。ならば、と拘束から抜けようと抗う手を止めることはしない。
振り上げた足は背中に当たった。
動かしたことで腰に激痛が走るが、そんなことは言ってられないだろう。
もしこの男が呼んだ>>168 ヨーランダ──女性名だから、きっとあの煩く喚き立てる人形の名だろう。───が来るのなら、一か八か彼女に蹴りを入れるつもりで。]
私の上に、ッ…乗るな……!!!
[彼が彼女に指示を出している時か、その後か。一瞬でもいい、気が逸れたその時に左手を無理やり引き抜く。───無理に引きすぎて脱臼などしてしまったかもしれない。
だとしても、そのままその勢いで彼のこめかみに握りこぶしをぶつけようとした。
その一撃は恐らく失血による衰弱で失われつつある力を振り絞った一撃。ある程度ダメージを食らわせてればいい。
もしそれすら読まれていたのなら、恐らく手を引き抜くことすらできなかっただろう。
当然銃口が向けられたなら、何としてもそれは避けねばならぬと激しく暴れ、彼の背を何度も蹴ったか。]
(170) 2016/03/05(Sat) 22時半頃