― 回想・初めてメールを送った日 ―
[メールは元々得意ではない――いや、好きでは無いと言った方が正しいか。
一々文字を打つのは面倒だし、緊急の用事ならばメールよりも電話の方が遥かに都合が良い。
俺にとってメールと言うものは、"暇な時に見て気が向いたら返信するもの"。
だから、今迄こうしてメールの返事を待ったりした事なんて、一度だって無かったんだ。]
………、やっぱり簡潔すぎたか?
いや、待て待て。まだ十分も経ってないだろう。そもそも、向こうには返す義理も………、無い、よなぁ。
[二十も半ばの男が、机に肘をついて女々しく何度も携帯端末の画面を見つめている様は、我ながら実に気持ち悪い。
送ったメールを読み返せば読み返す程、余りにも淡々としたその文章に覚えるのは自己嫌悪。
ビジネスメールでは無いのだから、とここ数分で三回程頭も抱えた。
挙句の果てには自分の言葉に自分で落ち込んで見せる始末。こんな姿、絶対に誰にも見せれないと俺以外に人の居ないこの家に心から感謝する。]
(167) 2015/11/18(Wed) 21時半頃